幼い子供を持つお母さんから、小学校受験に関する質問を受けることがよくありますが、一番多い質問は、
「小学校受験はどのような準備をしたらよいのでしょうか」
「準備はいつごろから始めたらよいのでしょうか」
「何から始めたらよいのでしょうか」
などです。
何から手をつけたらよいのか手探りの中から生まれた質問かと思いますが、こうした質問に対して私はいつも答えは同じです。
早いことに越したことはありませんが、思いついたら、今日、今からでもスタートできることがたくさんあります」と答えます。
今すぐ始めてほしいのは本の読み聞かせです。
想像力と言語能力を伸ばし、そして数多くの体験を積む機会を与えてみてはいかがでしょう。
それに最も大切なことは、生活習慣です。
毎日のリズムのある生活習慣は常に確保してほしいと思います。
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読み聞かせ
「聞く力」は何にもまして基本中の基本なのです。
また受験にかかわらず、本などの「読み聞かせ」は言語能力の発達に役立つばかりではなく、親子の絆や会話のキャッチボールにも大いに役立ちます。
「読み聞かせを始めてみると、受験準備を忘れて、楽しく素晴らしいことと痛感しました」というお母さんもたくさんいました。
子供が好きな本とお話は、何度も何度も読み返すことで喜びます。
年齢にあったお話を選択することは大事ですが、年齢より少し上(2、3歳)の子供用の本を読んでも良いと思います。
子供は、わからない言葉や表現を何度も何度も聞いてきますので、やさしく、わかるように説明することで、お母さんと子供の会話も楽しむことができます。
段落のきりのいいところで登場人物や動物などの質問をしてみたり、どんなストーリーなのかなどを質問することは、楽しんで勉強できる工夫の一つです。
日本の昔話や民話、イソップ、アンデルセンやグリムなど、外国の童話、現代作家による創作や知育用のお話など様々ですが、おすすめは、何と言ってもやはり日本昔話です。
「桃太郎」「浦島太郎」「一寸法師」「かちかち山」「さるかに合戦」「かぐや姫」「舌切り雀」など枚挙にいとまがありません。
おすすめの理由としては、文章構成がしっかりしていることと、話の流れが平易にして起承転結が明確なことです。
実際に小学校受験の女子校の言語、常識問題として、日本の昔話は毎年のように出題されています。
立教でも、毎年のように本の読み聞かせを考査の一つとしており、グループに読み聞かせたあと、いくつもの質問を個別に出題しています。
おすすめの本
読み聞かせを始めるための本の例として、
「よみきかせおはなし絵本ーむかしばなし名作20」シリーズ(成美堂出版)
「決定版まんが日本昔ばなし101」(講談社)など。
その他、新美南吉作、灰田健太郎作、大友康夫作、宮沢賢治作、などの本です。
海外の読み物では、
「ドン・フリーマン」
「マリー・ホール・エッツ」
「バージニア・リー・バートン」
「マレーク・ベロニカ」
などの作家による作品などがあります。
また、
「初めてのキャンプ」(林明子作)
「ももいろのきりん」(中川李枝子作)
「小さい魔女」(オトフリート・プロイスラー作)
「百まいのドレス」(エレナー・エスティス作)などです。
本の選択に迷ったときには、落合恵子さんが主催者を務めるクレヨンハウスの「ブッククラブ」を利用する方法も良いと思います。
出版社に偏ることのない、年齢ごとに厳選した本を1~2冊ほど、毎月郵送してくれるシステムです。
クレヨンハウスは港区北青山と大阪の吹田市にあります。
一度覗いてみると新しい発見があるかもしれません。
また、大学受験の通信教育で有名なZ会が「小学生になる前に読んでおきたい絵本100冊」の無料パンフレットを大きな書店に置いています。
言葉、物語、名作、民話、自然、科学などの分野に推薦の本を紹介しています。
内容はとても充実しており必見です。
もう一つ読み聞かせとしてお勧めするのは、実際に各小学校で使用している国語の教科書です。
志望校の教科書でなくても、手にとって親子で楽しむこともお勧めします。
1年生の国語の教科書には、
「おとうとねずみチロ」(もりやまみやこ・文)や、
「はるのゆきだるま」(いしなべふさこ・文)などの話が挿入されています。
また「1年生の本だな」と題したおすすめの本を約40冊紹介されています。
他に言葉の世界の中で簡単な動詞や形容詞、名詞の語彙が絵で紹介されていたり、“ことば遊び”で楽しむページもあり、言語力を鍛えていく素材としてはうってつけの内容です。