小学校受験は、合格通知を手にするまで、母親の渾身の努力が大きな力となることは事実です。
しかし、母親だけの力で、受験当日までの長い道のりを無事に乗り切れるほど簡単ではありません。
前にも書きましたが、協議に例えるなら、子供が1人で挑む個人戦ではなく、家族で挑む団体戦です。
家族全員が一丸となって協力して進む競技なのです。
特に核家族化の進む家庭の中で、母親の役目をサポートする意味でも、父親の役目、存在意義は大きいのではないでしょうか。
実際に受験を前に、子供の将来像や教育観について両親で話し合い、子供の性格や特性も考えながら、子供の総合力を育むように導き、志望校を選択して、受験日に向け準備を重ねることになります。
どのように導いたら効果的で良い結果を出すことができるのか、両親でよく話し合い、お子さんにとって最高の方向へ進めたらと願っております。
中学以上の受験にあるような明確な偏差値も合格基準も数字ではっきりと表されている訳ではないので、偏差値を上げていくトレーニング法はないのです。
両親に課せられた役割は多岐にわたります。
合否を左右する母親の役割が重要であることは容易に想像できますが、父親の努力と協力も不可欠です。
父親の役割も大きなものがあり、母親任せでは良い結果を得ることができないのは明らかです。
- 受験や受験準備期間の子育てを母親任せにしない。
- 帰宅後や週末は子供の遊び相手になる。
- 母親や子供の気分転換をはかる。
- 家族で会話の機会を多く持ち、子供と話のキャッチボールを楽しむ。
- 受験準備での状況に正確な判断とアドバイス。
父親の受験への参画は、子供や母親の精神的な支えになるとともに子供の総合力を高めることになります。
冷静な目で受験準備と子供の成長を見守り、俯瞰的な視点で将来を見据えたアドバイス役を務めることが大切です。
また、一生懸命のあまり、行きすぎた母親の感情や行動にブレーキをかけるのも役割の一つです。
父親は、母親のフォロー役として喜怒哀楽の「怒」「哀」の部分を少しでも軽減するよう心がけていただきたいものですが、なかなか難しいところでしょうか。
では、父親はどのようにすればよいのでしょう。
平日は可能な限り早く帰宅することに努め、家族団らんの中から会話の時間を多く作ることです。
今日一日、子供はどのように過ごし、何を学び、どのような対処をしたのか、しようとしたのか、など、夕食時などにじっくりと聞いてあげる時間を設けてほしいものです。
また父親の仕事でどんなことがあったのか簡単に話してあげることも良いことです。
こうしたことが1~2年続くことで子供の好奇心や集中力、そして総合力が高まります。
帰宅後はビール片手にテレビやゲームに釘づけでは、子供の成長にマイナスどころか、合格切符は望めません。
週末などは外に出かけて季節行事に参加したり、遊びながら体力づくりもできます。
イベントに頼る必要はありませんが、日常の生活を通して、大いに五感を使って好奇心や想像力を高め、子供らしい学びの楽しさと自立性を導いてほしいと思います。
実際、父親不在は試験問題にも大きく影響します。
実際に出題された問題を見てみましょう。
・家族そろって夕食を食べている絵を描いてください。
・家族みんなでピクニックを楽しんでいる絵を描いてください。
こうした課題に対して、父親不在を絵に表現した子供は驚くほど多くいるといいます。
・お父さんの仕事について教えてください。
・お父さんとは何をして遊びますか?
・最近お父さんにほめられたこと、しかられたことは何ですか?
・雑巾絞りは知っていますか?誰が教えてくれましたか?
面接時には、こうした質問も子供に問いかけられていますが、無言か「知りません」のどちらかで、日常生活で父親不在が一瞬にして学校側に分かってしまうことも少なくありません。
父親に対しても、子供とのかかわり方についての質問がかなりの頻度で聞かれるようです。
・休みのときや週末などはどのようにして過ごしていますか?
・お子様が成長したと思うときはどんなときですか?
・子育てをして気づいたこと、良かったと思ったことは?
父親への質問は、志望理由以上に、日常の子供とのかかわりを通じた父親の姿勢、そして温かい家庭の雰囲気を感じるかを見ているもので、母親任せは論外なのは明白です。