私立小学校受験の場合、基本は、あくまでも家庭での毎日の生活で、その中でも特に、話をしっかりと聞いて理解できる力、自分で考え適切に行動することができる自立した力、そして他者との関係性の中での礼儀や挨拶、思いやりなどを身につけた習慣を、日常生活の中でしっかりと実践できなければなりません。
幼児教室での勉強は、知識や思考力を身につけることは当然ですが、発育過程に応じた力を導いてくれるペースメーカーとして捉えるべきだと考えます。
ペースメーカーと一言で言っても、本番までに必要な段階的な学びの習得、考査や面接の願書にあたって重要な情報などを提供してくれるばかりではなく、子供達に自信と意欲を与えてくれたり、焦る親の気持ちに対して助言の言葉や、または安心感を与えてくれる大きな役割を持った心強い存在であります。
まずは家庭で、とはいうものの、小学校受験の専門家から見た客観的な視点は、親の視点とは違って大変重要です。
お家では気づき難い子供たちの集団の中での行動などについての説明は、とても参考になります。
一般的に幼児教室では、色々なことを強制するようなことはありませんが、幼児教室任せに何でもお願いしがちな家庭は、ついつい、推薦されたり紹介されたりするテストや講習を余るほど受講して、結果として、親子共々疲れ果て、出費増大な状況に陥ることにもなりかねません。
幼児教室へ子供の送迎する機会の多い母親たちは、色々な悩みを交換し合うことで精神的にも支え合い、受験情報を交換したり確認する機会にもなりますので、幼児教室の存在は親同士の情報交換の場として大変有益です。
生の情報は、幼児教室以上に親同士から得られる場合も多く見られます。
ただし、ある種の集団心理に陥る危険性もないわけではありません。
良質とは呼べない情報や噂の類も、このような教室に集まる親の間の腐心から生まれてくる場合もあるので、注意すべきだと思います。
年長を迎えると、幼児教室の授業も「総合」「学校別」「単科別」と、様々な内容が用意されていますが、多くても「週2クラスまでに」「試験は月に2回まで」を目安にしたいところです。
ここでも、早めの準備で志望校をある程度絞り込んで、傾向と対策、子供の弱点ポイントと強化ポイントを押さえておくことが効果的です。
漠然と、志望校を5校以上描いているのと、本命校と併願校で3校を具体化しているのとでは、授業や講習会の取り方、また模擬テストの受講回数にも大きく影響してきます。
既に私立小学校受験を一度でも経験されているのならまだしも、初めての親にとっては、周囲の独特の雰囲気から、あおられるような焦燥感と、取り残されることへの恐怖心から、全方位対策に突き進みがちです。
本番を数ヶ月後に控えて、夏休みには前期と後期に分かれてたくさんのクラスが用意されていることが多いようですが、まずは夏休みに何を課題として経験したいのかをしっかりと考え、リストアップして整理することをお勧めします。
さて最後に、当然ですが、幼児教室には、教育方針と教えるための実践指導法が存在しています。
どちらの幼児教室が子供と親の方針と考え方があっているのかを、事前に、十分に体験をして確認することが必要不可欠です。
素晴らしい実績を上げている専門の幼児教室では、経験に基づいたある種の「合格への型」を持った指導法を集団や個別クラスで実践して教えています。
本来、一人ひとりの子どもの性格と個性を最大限に尊重すべきで、型にはめてまで合格を勝ち取るものではないのですが、元気一杯で自由奔放な性格が長所である子供たちは、多少の課題があってもそのままに、または、引っ込み思案で消極的な子供であっても無理強いをして積極性を強要することはせずに、その素晴らしさを最大限に生かすことを考えたいものです。
確かに、難関といわれる私立小学校からの合格をいただくためには、それなりのテクニックと合格のノウハウを会得する必要があると思いますが、子供の個性を横に置いてまで習得するべきものではないはずです。
私はこのことをいつも頭において、2人の子供の受験を通して何度も何度も自問自答したことが思い出されます。
仮に、私に3人目の子供が存在したとして、私立小学校受験のために幼児教室に通わせるかと自問した場合、その答えは迷わず「Yes」です(経済的に許されることが前提ですが)。
幸いに各教室で素晴らしい先生に巡り合ってきました。
また、受験者が増加する傾向にある小学校受験において、特に難関といわれる私立小学校対策においては、実績のある幼児教室と素晴らしい先生抜きで合格を勝ち取ることは至難の技であることは言うまでもありません。